「え?」
「ミャアミャア」
目線を逸らすクロネコのクロ。ボクの観察の目は疑いの目に変わる。
「クロネコのクロお?」
「ミャン?」
クロネコのクロは目線をボクに合わせることなく、何事もなかったかのように再び三枚目のマグロを食べ始める。
「うま、うま」
もう鳴き声ではなく、はっきりと言葉で「うまうま」と聞こえる。ボクは少し声の調子を抑えて言ってみた。
「クロネコのくろお?」
クロネコのクロが動けば
ボクは見る
ボクが動けば
クロネコのクロはボクを見る
クロネコのクロが鳴けば
ボクは見る。
ボクがネコ語で鳴けば
クロネコのクロの耳は動く
ボクを見るクロネコのクロ
目を細めて視線そらす
そんなクロネコのクロの表情を
読み取ろうとしても
ボクにはわからん
クロネコのクロを
見ることをやめて放置
しばらくするとクロネコのクロは
ボクの膝の上に
なんだコレ
そんな日々