お月さんと白い花1122

 しばらく何という名前の花なんだろうと考えながら眺めていた。すると夜の夢の中だけれど、サ~ッと涼しい風が吹いてくるのを感じた。それでその白い花がちょっと揺れて、白い花の部分がボクの方を向いたように見えた。なんて言うか、顔がこっちを向いたように思えた。

 だからボクは静かに話しかけようとした。夜だからうるさくしてはいけない。寝ているみんなを邪魔してはいけない。でも、ボクが話しかける前に白い花が、先にそして静かに話しかけてきた。この間の、アサガオとヒマワリと同じようにね。

「こんばんは、私はツキミソウ」

 やっぱり名前は聞いたことのある花だった。ツキミソウはこういう花だったんだね。正直、名前は聞いたことがあってもどんな花なのか、知らなかった。アサガオやヒマワリと違って、高くもなく小さな花。夜中に、何かの用事で起きて、家の外を歩くとしよう、よく見ないと踏んづけてしまいそうな、そんな目立たない花。

クロネコのクロとボク

フィクションです。

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クロネコのクロとボク

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