お月さんと白い花1124

 ツキミソウってなんか健気だなとボクは思った。なんというか月に見てもらえるわけがない、仕方がないと言いつつ、月を見ているのが好きだと言う。控えめな感じに少しグッときた。

 それとボクは安心した。少し嬉しくもなった。ヒマワリもアサガオも月よりも太陽が好きと言っていた。お花屋さんのおばあさんは、太陽よりも月が好きなのかどうか、そこまでは言っていなかったけれど、満月の日の夕方のオレンジ色の月が好きとは言っていた。だから、なんとなく太陽が好きという方が多いのかなと思っていた。

 でも、ツキミソウのように太陽よりも月が好き、そう思うのもいる。やっぱり決めつけてはいけない。
 
  それにひょっとしたら、昼間に見える白いお月さんは、明るい空からちゃんとツキミソウのことを見ているかもしれない。もちろんツキミソウの花は咲いていないかもしれないけれど、ボクはそう思う。太陽の力を借りてということも忘れてはいけない。

  今度は、ボクがツキミソウに「決めつけないで」と、教えてあげてもいい。当たり前のことだと思っていても、ちょっと今までとは違う何かに気がつくことができれば、いろいろなことが違って見える。ちょっとしたことでも、面白い何かが始まるかもしれない。そのちょっとしたこととか、面白い何かというのが何を表すのかはまだわからないけれどね。

  ところでクロネコのクロは、ボクに何を言おうとしているのだろうか。

クロネコのクロとボク

フィクションです。

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クロネコのクロとボク

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