クロネコのクロと一緒に1118

   ボクは買い物へ行くことにした。財布を持ち、出かけようとする。

   今までもその時を待ってクロネコのクロもどこかへ出かけることはあった。

 いつもは、ボクが玄関のドアを開けると、伸びをしながら、二本の前足というか二本の手を前方に出して、背中を反り気味に伸ばす、そんな感じで。

   ゆっくりとクロネコのクロは自分の行きたいところへ出かける。

 ボクが買い物から帰ってくると、大体、玄関の辺りに座っていて、一緒に家へ入る。

   そういえば帰ってきてボクの顔を見た時の鳴き方が、少し甘えるような特徴のある鳴き方かもしれない。

 その日のクロネコのクロは、玄関のドアを開けると、伸びはしたけれど、その後は、自分の行きたいところへ行こうとはしなかった。そのまま座り、ボクの方へ向いて一回だけ「ニャン」と鳴いた。ボクは意味も鳴き方も考えずに適当に「ニャン」と返した。その返し方で当たっていたのかはわからない。

   多分違うと思う。

クロネコのクロとボク

フィクションです。

0コメント

  • 1000 / 1000

クロネコのクロとボク

フィクションです。